夜行 感想&ネタバレ
表紙が好みだったので読んでみた作品です。表紙買いですね(笑)
森見登美彦さんの本は一度読みたいと思っていたので、よかったです。
第一印象?というか、一通り目を通してみて思ったことは、すっごく不思議な話だなー
という(笑)
一人一人が話をしていくっていうのが百物語ぽいし、明確なオチがないところも怪談に近い
さすが怪談×ファンタジー×青春
でも話をしている彼らには「怖い話」をしている自覚はない
本当にただ笑い話や愚痴、旧友と話す雑談として語っただけというところが一番恐ろしいなと思いますね
私が特に好きなのは天竜峡かな
田辺と佐伯と岸田と女子高生
この話に出てくる登場人物が全員好き
最初は胡散臭い佐伯のことはそんなに好きだとは思えなかったんだけど、佐伯が岸田のことを慕っていたということと佐伯なりに岸田を心配していたっていうのがね
二人で旅に行こうと誘ってたんだ
「あなたは手を伸ばしてあの人の頬を撫でた。とても優しい手つきだった。まるで恋人みたいだった」
このセリフが好き
「岸田サロンに出入りしている人間たちは無責任な取り巻きだ。岸田が破滅していくのを見ているだけではないか。」
佐伯にとって岸田はちゃんと友だったんだろうな。対等な関係というより、ほかの取り巻きの人とは違って純粋に一人の友として心配してたんだろうな。
佐伯はそんな友に群がるだけの取り巻きたちのことを疎ましく思っていたのかな?
田辺もちゃんと岸田の友であったんだけどね。
最後の本当は消えていたのは主人公のほうだった?というありがちな展開は、薄々そうなんじゃないのかなとは思ってました。
それにしても「曙光」の世界ではみんなまともそう(笑)
「夜行」の世界のみんなはどこかしら違和感があって、でも私が感じている違和感を違和感だと感じないからこそあの「夜行」の世界は成り立っているんだよなー
主人公が「曙光」の世界に来れたのはよかったことというか幸せなことなんじゃないかな
長谷川さんが生きて生活している様子を見れただけで満足なんじゃないのかな
それぞれの登場人物が幸せならそれはハッピーエンドなのでは
けど、やっぱりもやもやするところはあって
「曙光」にいた主人公が「夜行」に迷い込んで戻ってきたのか
もともと「夜行」にいた主人公が「曙光」に行ったのか
この二点のどっちかなんだろうなとは思うんですけどね。
でも、もともと「夜行」にいたはずなら「曙光」にいた主人公の存在は?と疑問が残りますしね。
あとは、「曙光」の長谷川さんと「夜行」の長谷川さん
「夜行」の長谷川さんは一体どこに行ってしまったのか。
そこだけが本当に不思議でしょうがない。
でも、本当に何度も読み返したくなる本なのは事実だなと思ってます。
読み返せば読み返すほどここってこういうことかな?と何度も新しい発見がある素敵な物語でした