楽園のカンヴァスと#9 感想&ネタバレ
友達がおすすめする作家さん、原田マハさんの本です。
おすすめされたので、読んでみました(笑)
本当は「暗幕のゲルニカ」を読んでみたかったのですが、置いていなかったので代わりに「#9」を。
まず一冊目、「楽園のカンヴァス」
全然美術に詳しくない人間なので最初はハテナマークが頭に浮かんでいましたが、読み進めていくうちにそんなことは気にならなくなっていきました。
あと、何の備えもなく、読んでいたのでこれは恋愛をテーマにしているのかな?と思っていたのですがそういうことではなく、途中から推理ものになったり?
個人的に好きだと思ったのは、「夢をみた」は、ピカソの「青の時代」の上からピカソ自身がルソーの作品をまねたというティムの主張ですね。
「夢」と「夢をみた」どちらかが贋作かもしれないしどちらもルソーの描いた絵かもしれない。それを裏付ける誰かが書いた日記のような物語。
私がこの作中で感じたルソーは、たとえ人から譲り受けた価値のない絵が描かれたカンヴァスでも、その上から自分の絵を描くことをよしとはしないだろう、と。
だから、ティムが無理矢理出したその答えが本当かもしれないなーと思っています。
もうちょっと織絵周辺も知りたいなというか、娘との関係がこれからどうなるのか、とかいろいろ気になることもあるんですけど、それを書き出しちゃうと本題と関係ないんですよね。
そして、二冊目「#9」
あらすじ
真紅が、ふと立ち寄ったジュエリーショップで出会った男”王剣”。まるで運命の糸に導かれるように、 真紅は男の影を追い上海へと旅立つ。そしてたどりついた洋館、緑葉西路に佇む「#9」。そこから真紅の運命の日々がはじまった。
この本を読んで、原田さんは最初と最後の章を語る人と本題を語る人を分けて話を進めていくタイプの書き方をする作家なんだと思いました。
もしかしたら、たまたま私が読んだこの二冊だけかもしれませんが(笑)
視点を二つに分け、最初と最後の章を現代、本題を語る章は回想として終わってしまった話というように読者が主人公?を客観的に想像できるようにしているのかなって思いました。
あと、そうですね、どちらも絵の中に入っていくという表現があるかな。
引き込まれる、世界に入る、絵にはそういった魔性な性質があるということを言葉で表しているような。
個人的に好きだと思ったのは、#9を探して真紅がマッサージ店に行き再会するところですね。
火傷の痕のせいで目が見えなくなってしまっていた#9。
それは画家にとって致命的な欠陥であるはずなんですよね。
でも、それを苦とはせずにいたんだろうなっていうのをこのページから感じまして。
「永遠に、世代から世代へ、遠く未来まで伝えるために」
真紅の思いと#9の思い。
ここで、真紅と#9の人生はもう交わることはなくなるんですよね。もう二度と会うことがなくなると分かっていての真紅の涙と#9の笑顔の対象がすごい心にくるんですよねー。
すごい好き。